「相続した実家の土地を整理しようとしたら、まだ住宅ローンが残っていた」「共有名義の土地を売りたいのに、抵当権がついていてどうすればいいかわからない」――こうしたご相談は、特に親から土地を相続された40〜60代の方から多く寄せられます。

結論からいうと、抵当権がついた土地でも、共有解消は可能です。ただし、ローンの残高と土地の価値のバランスによって、進め方が変わります。この記事では、難しい言葉を使わずに、状況別の解消方法をわかりやすく解説します。

そもそも「抵当権」って何?

抵当権とは、お金を借りたときに、その担保として土地や建物に設定される権利のことです。住宅ローンを組んで家を買った場合、銀行などの金融機関がその土地・建物に抵当権を設定します。

抵当権がついた土地は、ローンが完済されるまで「この土地はこの銀行の担保になっています」という情報が登記簿(法務局に保管されている公式な記録)に記載されます。

登記簿の「乙区」という欄に「抵当権設定」と書いてあれば、その土地にはまだローンが残っているということです。

抵当権がついたまま売却や解消はできるの?

原則として、抵当権がついたまま土地を売ることはできません。なぜなら、抵当権をそのまま引き継がせることは買主が嫌がるからです。

ただし、売却代金でローンを完済し、同時に抵当権を消す(「抵当権抹消登記」といいます)ことで、売却を成立させることはできます。これが実務上の一般的なやり方です。

重要なのは、「ローン残高」と「土地の時価」を比べることです。この2つのバランスで、解消の方法が変わります。

状況①|アンダーローン:土地の価値の方がローン残高より大きい場合

たとえば、ローン残高が500万円で、土地の時価が1,500万円の場合、これを「アンダーローン」といいます。

この場合は比較的スムーズです。

  1. 土地を売却する(1,500万円で売れた場合)
  2. 売却代金からローンの残高(500万円)を返済し、抵当権を消す
  3. 残りの1,000万円を共有者で持分に応じて分ける

このやり方で、ローンを完済しながら共有解消と売却を同時に進めることができます。不動産会社・司法書士・銀行が連携して手続きを進めるのが一般的です。

アンダーローンの場合は選択肢が多いため、早めに動き出すことをお勧めします。

状況②|オーバーローン:ローン残高の方が土地の価値より大きい場合

ローン残高が1,500万円で、土地の時価が1,000万円の場合、これを「オーバーローン」といいます。売却してもローンが全額返せない状態です。

この場合は、通常の売却では解決できないため、「任意売却」という方法を検討します。

任意売却とは

任意売却とは、金融機関の同意を得たうえで、ローンが残ったまま土地を売る方法です。売却代金(1,000万円)で返済できる分だけ返し、残りの差額(500万円)については分割払いや減額交渉を金融機関と行います。

任意売却のポイントは次のとおりです。

  • 金融機関の同意が必要:銀行や保証会社との交渉が必要になります
  • 通常の売却より時間がかかる:交渉や手続きで数か月かかることもあります
  • 早めに相談することが大事:返済が滞ると競売(強制売却)に移行するリスクがあります。競売は任意売却より低い価格になりやすいため、可能な限り任意売却で解決することをお勧めします

任意売却については、不動産会社・銀行・弁護士・司法書士などと連携して進める必要があります。

状況③|一人が土地を引き継ぎ、ローンも引き継ぐ場合

「兄が実家を引き継いで、弟・妹の持分を買い取りたい」という場合、ローンも一緒に引き継ぐ方法があります。これを「債務引受(さいむひきうけ)」といいます。

ただし、債務引受には金融機関の審査と承認が必要です。引き継ぐ人の収入や信用情報が審査され、金融機関が認めれば手続きが進みます。

また、現在のローンを一度完済して、新たに引き継ぐ人名義でローンを組み直す「借り換え」という方法もあります。借り換えの場合も新規ローンの審査が必要です。

相続でローンを引き継いだ場合はどうなる?

親が亡くなり、土地と一緒に住宅ローンの残債も相続した場合、ローンは相続人全員で引き継ぐことになります(法定相続分に応じて)。

このとき、次の点を確認してください。

  • 団体信用生命保険(団信)に加入していたか:多くの住宅ローンには「団信」という保険がついており、借りた本人が亡くなった場合にローンが完済される仕組みです。親が団信に加入していれば、相続人はローンを引き継がなくて済みます
  • 加入していない場合:ローン残高は相続人が引き継ぐ債務になります。相続放棄をすれば引き継がなくて済みますが、土地の相続権もなくなります

まず「団信の加入有無」を金融機関に確認することが、第一ステップです。

まず確認すべき3つのこと

抵当権つきの共有土地を解消したい場合、最初に次の3点を確認しましょう。

① ローンの残高

金融機関に問い合わせるか、毎年送られてくる「残高証明書」で確認します。いつ完済できるかも合わせて確認しておくと、解消のタイミングを判断しやすくなります。

② 土地の時価(鑑定評価)

ローン残高と土地の価値を比べるために、土地の現在の価値を把握することが重要です。不動産鑑定士に依頼すると、客観的な評価額を証明する「鑑定評価書」を取得できます。この評価書は、銀行との交渉や共有者間の価格合意にも役立ちます。

③ 金融機関の意向

売却・債務引受・借り換えのいずれの方法を取るにしても、金融機関との相談が必要です。早めに担当者に状況を話し、どのような対応が可能かを確認しておきましょう。

まとめ:抵当権があっても解消は可能。まず「残高と価値」を確認

抵当権つきの共有土地は「売れない」と思いがちですが、アンダーローンであれば通常の売却で解消できますし、オーバーローンでも任意売却という選択肢があります。

大切なのは、まず「ローン残高と土地の価値」を正確に把握することです。この2つが明確になれば、次のステップが自然と見えてきます。

当センターでは、不動産鑑定士が土地の適正価格を評価し、税理士・司法書士と連携してローンありの共有解消もサポートしています。「うちのケースはどうすればいいの?」という段階からでも、初回無料でご相談いただけます。お気軽にご連絡ください。